Victor HP-M1000 [ヘッドホン・イヤホン]
VictorのHP-M1000の紹介レビューです。
久しぶりに密閉型のレビューです。
なかなか言い表しにくい特徴の機種です。
使用機種：iPod(+D2 Boa) (PS3→DAC1）
使用時間：250時間超
音色
第一印象：音がかたまりとなって聞こえてくる。
ボーカルの音像がかなり大きくて、聞きとりやすい。
低域：量はやや多い程度。伸びは値段の割に悪くない。
締まりはまぁまぁ、厚みは十分ある。音圧も程よい。
全体的にクセは少ない方に思われる。
そのクセもノリよく音楽を聴くのに適したクセなので、悪くない。
ただ、分離感はあまりよくない。
高域：量は普通～やや多い程度。低域ほどでないものの、伸びは悪くない。
太さは普通からやや細い程度。硬さも普通で、こちらもクセが少ない。
ただ、低域と比べると魅力は薄い。やはり分離感はよくない。
ボーカル：音像が大きめで聞き取りやすいけれど、ぼやけてる感が強い。
また、薄っぺらい感じがある。
けれど、上ずりはないし、力強い表現が得意なので
男声や低めの女性ボーカルには悪くない。
音場：狭い。耳の近くで鳴る。
前後は意外と悪くないが、上下左右はよろしくない。
密閉型で、ある程度低音が出る割には、籠り感は少ない。
定位感は微妙。何となくの位置はつかみやすいが、距離が分かりにくく、ピシッとしてない。
まとめ：全体的にクセが少ない音作りではあると思う。
その分、魅力がどこにあるかと聞かれると難しい、そんな機種。
全体的に音がぼやけ気味なので、それをどう扱うかがポイントに思われる。
よく言われる、ノリの良さはまぁまぁという印象。
スピード感、低音の量や厚み・音圧・キレどれもバランス良くある、という印象。
悪いことではないのだが、特化していない分、使い分けはしにくい。
相性がいいのはポップス。テンポの速い曲やロック気味のものに合う。
クラシックは音場の狭さ、定位感の甘さ、分離感の低さ的に合わない。
ジャズも同上。ただ、まったりと楽しく聴きたいのなら、使えなくはない。
楽器は大抵可もなく不可もない感じ。
強いて挙げるなら、サックスが力強さと柔らかさがあり良い。
打ち込みは、もう少し低域の締まりが欲しかったり、
高域の派手さが欲しかったりするが、良好である。
個人的に、このヘッドホンでよく感じたのは栗林みな実。
やや埋もれ気味のボーカルがちょうどよく聞こえ、ノリの良さも合う。
ソースの粗も程よく隠してくれる。
アルバム「fantastic arrow」の「boyfriend」が特に良い。
その他
音量はiPodで六割程度。ポータブルではやや取りにくい程度だが、
家で使う分には、逆に取れやすく感じる。
装着感はまぁまぁ。
側圧が程よい強さで、イヤーパッド・ヘッドバンドともに質は高くない。
しかし、いい具合に耳を包むので2、3時間程度なら問題ない。
痛くなるなら頭頂部からと思われる。
ヘッドバンドの長さの調節幅は広いけれど、それでも頭の大きい人にはきつい。
ギミック音が多いことも残念。
デザインはまぁまぁ。
ごつめのヘッドホンとしてなら、大きいけれどファッション的にも使えなくない。
ただ、ヘッドバンドを長くするとかなりダサいので、首にかける用に。
艶消しのシルバーは色合いとしては悪くない。
しかし、革が安っぽいこととプラスチッキーなことは残念。
作りはかなり頑丈。片側だけで10か所もねじ穴がある。
遮音性は意外とよくない。電車で使うと低音がかなり弱く感じる。
音漏れはそこまでしない。音量に気をつければ図書館等でも使える。
エージングの効果はかなりあると思われる。
最初は痛く感じていた高域が、だいぶおとなしくなる。
低域も若干分離感がよくなり、厚みも増す。
同じ空の下で
分離感のなさのせいか、音のかたまり感が強い。
高域はもう少し派手さが欲しい。ボーカルはもう少し明るさが欲しい。
基本的には良い。バランスがとてもとれている。
ただ、それだけであって魅力がない。なんだか、むずがゆい感じ。
総評
バランス良く、安定感があり、ポップスを楽しく聴かせてくれる機種。
ただ、細かい使い分けにはあまり向いてない。
ポップス中心の人に、一万程度のヘッドホンの入門として勧めるには良い。
spinさん、Niceありがとうございます。
by セラミック (2008-11-03 20:31)