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CDについて [独り言]

少し前に某所でCD(-DA)の話題があって、少し思うところがあったので
CDについて少々考えたいと思います。
学術的な話も多少入れますが、いくらでも反証があると思われます。
細かいことにつきましては、ご了承ください。








まず、私の考えを述べますと、CDはなくなります。


もちろんすぐになくなるわけではありませんし、存続を願う人も多くいるでしょう。
特に地方に行けば常時100円でレンタルできるショップもありますし
例えDAPや携帯、パソコンで音楽を聞くにしてもCDという媒介の必要性は高いものです。
しかし、私は以下の3つの要因からCDはなくなると考えます。


1:技術的要因

分かり切っていることですが、CDには容量というものがあります。
そして定められた仕様というものがあります。
もちろん、アーティストをはじめ、様々なエンジニアの方の研鑽によって音質は変化しますが
CD音質というものは、その容量・仕様から一定のものと考えることが出来るかと思います。




ここで少々、わき道にそれますが、“イノベーションのジレンマ”という言葉をご存知でしょうか?
説明はウィキペディアをご覧になっていただくにして、図で表すと以下のようになります。

b87a5a81.jpg


近年で分かりやすい例をあげると、DAPのHDDとフラッシュメモリの例が挙げられます。
フラッシュメモリの方が音質・耐久性が~、という意見はひとまず置いておいて
単純に容量の話のみでお考えください。
以前は、多くの楽曲をお持ちの方はHDD型のDAPをお買い上げになられたと思います。
しかし最近は、手頃で大容量化したフラッシュメモリ型のDAPが増え、
製品自体もHDD型を採用しているところは少なくなってきています。

他にもデジタルカメラも、破壊的イノベーションの産物と言え
特に強い影響を受けたのが、コニカミノルタや富士フイルムだと言えるでしょう。





話を戻します。
それでは、上記の考えを用いてCDについて考えてみましょう。

DSCN0436.JPG

チープな手書きで非常に申し訳ないのですが、このように表せるのではないでしょうか。
CDの音質は技術がやや進化するもあまり変わらない。
音楽配信はここ10年で音質的にも配信のインフラ的にも急成長。
青字の音楽配信がローエンドの求めるレベルを超えたのが、少し前と考えてください。
そして今後さらに音楽配信の技術は伸びていくでしょう。


上の図から言えることをまとめると
・ハイエンド層はCDでは満足しておらず、上(SACD等)を目指している(今後そうなる)。
・ローエンド層は音楽配信のレベルで満足するようになってきている。


上の図にはないものの、今後そうなるであろうことは
・気軽にCDと遜色のない音質で配信されるようになる。
・ハイエンド層を満足させるような音楽配信が実行される。
こんなことがいつの日か、叶うのではないのでしょうか。
しかし、そんな中でもCDは変わりません。


もちろん、昨今流行りの特殊な材質を使うことでCDも変わろうとしている。
SACDはCDを超える規格だ。という意見もあるかと思います。
しかし、それは画期的な変化でしょうか?
過去に変化を求めて行ったことにCCCDがあったことはご存知かと思います。
言うまでもなく失敗でした。
CCCDと特殊素材CDは方向性が違うとおっしゃるでしょう。その通りです。
しかし、どちらもイノベーションの前には些細な抵抗であり、
CDの持つ柔軟性の低さを示すものだと言えるでしょう。



以上、技術的要因でしたが、まとめますと
CDは規格上の限界が明確に存在し、イノベーションに対応できない媒介であり
音楽配信の伸びにいつか追いつかれる、と言えるでしょう。






2:商業的要因


技術的要因でみたように、CDは進化せずに、音楽配信は進化するかもしれない。
それでもローエンドにとって、CDは十分な性能を今後も長く持ち続けるだろうし
値段だってレンタルならば安いから、音楽配信にだって対抗できる。

こう考える人は多いのではないでしょうか?
確かにその通りです。私もこういうスタイルは良いと思います。
しかし、率直に言って、店頭で通常CDが売れない状況でレコード会社がCDを作るのでしょうか?
私はレンタル使用料には詳しくないので
もしかしたらレンタルはレコード会社にとって、大変おいしい商売なのかもしれません。
しかし、あまり高くもないレンタル代金とレンタルショップの取り分とを考えると
そうそう、おいしい商売とは思えません。
ほとんど売れない通常CDとレンタルCDのためにどこまでCDを作るメリットがあるのでしょうか?

たまに、着うた限定配信、と銘打った曲があります。
これはある種の収益モデルを考えた実験ではないでしょうか。
そしてCDを販売するよりも、こちらの方が儲かる日が遠からず来るのではないでしょうか?


CDを作ることの方が儲けられないのなら、当然レコード会社は作ることをしなくなるでしょう。






3:文化的要因

CDが誕生してもレコードがなくなったわけじゃないんだし、CDもなくならない。
作り続ける会社もきっとある。形ある物の良さがある。

こういう意見もあるかと思います。
たしかにレコードは出ているのが限られているとはいえ、まだ売っています。
しかし、これはレコードに
・使いこなしによってはCDよりも高品位の音が出る。
・レトロな雰囲気があり、所有の満足度が高い。
といった特徴があるからだと思われます。

CDはレコードに勝利する要因となった“デジタル”という要因において
逆に、コモディティと化し、所有の満足度を持ち得ていないと言えるでしょう。

また、技術的要因でも述べたようにCDには規格の限界があり
同じデジタルの土俵で戦うことから、音楽配信に比べ将来的に利点があるとは言えないでしょう。

そして形というものに対しては、ミュージックビデオというものがあります。
CDがなくならない、とする人の意見には再生機器が行き渡っているからとする人もいるでしょう。
確かに車載コンポはCDで、部屋にあるのもCD(MD)コンポという人は多い。
しかし、いまやカーナビにはDVD機能が付いているものが多く
カーナビのない車でもCDではなくiPodからFMトランスミッタを使って聞く人も増えています。
そして部屋にはDVD(BD)レコーダーやPCがあり、音楽と共に映像で楽しむ下地ができています。

CDには文化・形の分野で考えても価値・必然性はない、と言えるのではないでしょうか。






以上、大変長くなりましたが、これら3つの要因からCDがなくなると私は考えます。
もちろんこの論には私の個人的見解が多々含まれておりますので、どうなるかは分かりません。

私自身、CDは好きです。
しかしそれでも、音楽を聞く形がCDからである必要性を述べることはできません。
なので私は、やはりCDは悲しいけれどなくなる日が来るのではないかと考えています。


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Riever

ハイエンド:ガチガチの著作権縛りSACD
ローエンド:P2P
・・・(爆)

私としては、まだCDが無いと困りますね。なぜなら持っているCDトラポ(CDP-R1a)が使えなくなるのは困るからです(^^;;
とはいえ、DSD 1bit/2.8MHzやPCM 24bit/192kHzなんかの「著作権フリーの配信が一般的になり、かつそれをデコードできる据え置き及びポータブル機器が出れば」(←ここ重要)、CDもSACDもいらないです、はい(笑)

個人的ないるいらないはこれくらいにして、CDの寿命は・・・んー、短くても10年はもつでしょう。20年はもたないかな、と思いますが。
まあ、論理立てているわけではなくフィーリングでの予想ですが。
by Riever (2010-02-09 01:28) 

お米2号

CDの寿命は15~25年くらいかな、と自分は感じています。
というのも今のところフィルムカメラに対するデジタルカメラ、VHSに対するDVDのような移行するのに足るべき理由が明確に見えてこないからです。
CDが本格的に消えていくのは家庭内の家電がすべてリンクするようになってからではないか、と考えています。自由に持ち出せる、というのは大きなメリットですし、配信データはPCやそれに類するものしか不可という現状ですから。

ただ問題なのはローエンドが求める高さは低くなり、ハイエンドはもともとCDでさほど満足していなかった、という点ではないでしょうか。総合的な音質よりも利便性を取ったCD自体がこういった流れを作った、という点でこういった流れは決まってたのかな、と考えてしまいます。
by お米2号 (2010-02-10 19:16) 

セラミック

Rieverさん、Niceとコメントありがとうございます。

おそらくRieverさんの要求するそのスペックが可能になる頃には
さらに素晴らしいスペックの音楽が流れていることになるのでしょうね。
でもその頃には、音楽はスペックで聞くんじゃねぇよ!って運動が起きて
CDがレトロとか言われてもてはやされているかもしれません(笑

今年で誕生30年なので合わせて50年くらいですか。
そう考えると寿命が長いですね。そんな電化製品は数少ないでしょう。
by セラミック (2010-02-11 00:11) 

セラミック

お米2号さん、Niceとコメントありがとうございます。

結局はCDで音楽を聞くという文化が根付いているから
そうそう変わらないし、変わってほしいと願わないのでしょうね。

私的にはローエンドの求める質が下がったとは感じません。
CDがローエンドには十分すぎる代物だったと思います。
それに今は劣化したデータでもある程度まともに聴かせる技術が発達していますし
CDの必然性は弱いと思います。それでも使うのは惰性から生じた愛情ですかね。

>合的な音質よりも利便性を取ったCD自体がこういった流れを作った、という点でこういった流れは決まってた
これは激しく同意いたします。
私もCDは画期的な発明だったとは思いますが
その方式ゆえに誕生と同時に滅びのシナリオもできてたのだと思います。
by セラミック (2010-02-11 00:24) 

セラミック

Matthieuさん、こちらでは初めまして。Niceありがとうございます。
あちらともども、よろしくお願いいたします。
by セラミック (2010-02-11 00:26) 

セラミック

黄昏さん、Niceありがとうございます。
by セラミック (2010-02-11 00:26) 

スピードの素

こちらでははじめまして

会社のオーディオ好きの中ではCDがなくなってネット配信やメモリ販売になるって話が多いですね。
CDも出てから10年以上たちました、途中DVDオーディオなるものもでましたが
廃れてしまい、CDとSACD、ネット配信に。
そろそろCDの後継メディアもでておかしくないですよね。
ただ、ネット配信の際の規格統一でまたひと悶着ありそうな・・。

ちなみに、とある中古楽器屋さんいわく、一時期のレコード収集家などの動きも落ち着いて、
レコードが家具みたいな、ディスプレイ目的で買っていく人が多いとの話も。
難しい話になりますね。
by スピードの素 (2010-02-11 20:08) 

セラミック

スピードの素さん、Niceとコメントありがとうございます。

後継メディアは出ないんじゃないですかねぇ
CDに値段以外で不満を持つ人は少ないし、これほど普及しているので
新たにデータ以外の何かを出しても見向きもされなそうです。
確かに配信時の規格は色々と波乱がありそうですね。
規格をめぐってアーティスト側にも色々と変動があったり、業界再編されたり。

ディスプレイ目的にレコードですか、確かにいいですね。
そういえば私、CD飾ってたなぁ。こりゃホントにCDも家具になるのかな(笑
by セラミック (2010-02-11 21:14) 

SAKURA

あまり詳しいとはわからないのですが、自分はCDっていうのは中途半端な存在だと思います。
これは知人の言っていた言葉に由来するところがあるのですが、どうせデジタルなら割り切ってデジタルにすればいいのにと。

確かに中途半端にレコードをまねて(かどうかわかりませんが)ディスクから読み取るという方法ではジッターなど色々な問題が出てくるとおもいました。
どうせデジタルならわざわざディスクにしないで扱った方が効率が良いんじゃないかと・・・

ハイエンドに関しても、SACDのようなCDと別の環境を構築しなくてもデータのままなら簡単に取り扱えるんじゃないかな?とか色々あります。
(細かいところは省いていますが気になさらないでください)

そう考えるとディスクとしての利点は確かに希薄で、非常に不利なのかなとは思います。

といっても素人考えで恐縮ですが。
by SAKURA (2010-02-16 00:40) 

セラミック

SAKURAさん、コメントありがとうございます。

まぁ、自由な形にできるとしても、あまりに奇抜なものでは
それまでのレコードユーザーの方が心地よく移動できませんからね。
SACDレベルのデータとなると転送するためのネットインフラや
HDD(SSD)ももう少し進化する必要はあるでしょうね。
それ以上に某著作権保護団体も色々と絡んでくるでしょうけど。

CDというものはゲームなんかの例で見ても、すでに時代遅れの媒介です。
だけど今でもここまで使われているのは
ディスク文化が良くも悪くも浸透しきっているのでしょうね。
歌詞カードもそうですが、なくなるものへの未練が尽かない人が多いのでしょう。
by セラミック (2010-02-17 02:22) 

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