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beyerdynamic DT990PRO [ヘッドホン・イヤホン]

beyerdynamicのDT990PROの紹介レビューです。




もっと早く記事にしたかったのですが、諸事によりここまで延びてしまいました。
細々と色々書きたい気もしますが、それは紹介が終わった後にでも。



使用機器:PS3→DAC1
使用時間:300時間超



音色



第一印象:低域が響くわりには高域がかなりさっぱりしている。
       量は多いけどきつくない低域と量にかかわらずきつい高域。


低域:量は多い。音圧は強くはないが響きがなかなかあり、厚みを感じる。
    本当に低いところまで伸びている印象。
    締まりには欠けるものの、音が自然に広がって行く様が感じられる。
    重低音と言われているが、定位間がしっかりしていて低域が下から聞こえること、
    低いところまでしっかり音を出してること、響きが豊かなこと、から来るものと思われる。


高域:量はやや多い~多い程度。量以上に細さ・硬さが目立つ。
    中高域から硬さが目立ち始め、そのままだんだんとその傾向が強くなっていくが、
    低域ほど素直ではなく、荒を感じる。刺激という点では文句なくトップレベル。
    人によっては拒絶したくなるくらい細く硬い音であり、曲との相性も重要になる。


ボーカル:基本的には素直。繊細さも力強さもそのままの方向性でいい声を聴かせてくれる。
      男声はかなり生々しい。一部の歌手ではサ行がかすれる。
      女声は評価が難しい。低めの場合は落ち着いており、かすれ方も自然な感じ。
      高めになるにつれ高域の特性同様、硬さが目立ち始める。
      かなり好き嫌いが出そうなところで、サ行だけでなく全体的にきついこともある。
      芯のある声や低域に埋もれないことを求める場合には十分ありだが、
      優しい声や曲との一体感を求める場合には難があると言わざるを得ない。


音場:遠目から聞こえるが、定位もしっかりしており、大変自然で空間に包まれる感じ。
    特に下への伸びが秀逸。上は若干物足りないが、前後は良好。
    横への広がりも問題なく、抜けもいい。




まとめ:大変癖のある機種。聞く人の好み、聞く曲の相性次第と感じられる。
    ダイナミックさと繊細さが両立されているが、そのせいで扱いにくい。
    beyerdynamicは暗いと言われるがそれは低域の沈み込みを言っているものであり、
    けっして地味ではない。高域も明るいを通り越して刺激が特徴なだけで、明るさは多少ある。
    明るさを期待して使用できるわけではないが、金属的な鳴らし方は得意だろう。
    また、落ち着いているともよく言われるが、帯域を考えれば落ち着いているわけはない。
    だがそう言われる原因はやはり低域表現からくるものであり、
    定位感も相まって、整然とした鳴り方になっているからだと思われる。
    その整然さから上品な感じと受け取る人もいるかもしれないが、
    AKGやSTAXのような上品さはなく、高域の荒さからも感じられるように
    「自然」というのが最も合った形容詞だろう。
    

    相性がいいと思われるものはやはりジャズ。否定する要素が見つからない。
    また、特性自体を嫌わなければ、生楽器はどれも高次元で鳴らしてくれるので、
    クラシックもかなり楽しめる。
    ポップスも悪くない。ドラムやギターの表現がよく、ゆったりとした曲にはかなり合う。
    ただ、低域の量が多く、よく響くのでベースがききすぎてる曲はきつい。
    ロックや低域の多いポップス、逆に高域の多いポップスや打ち込みにおいては
    特性がそれらを増長し過ぎて嫌味を感じる人も多いだろう。
    狙ってそう聞きたいのなら悪くはないかもしれないが、一般的にはお勧めしない。


    個人的にこの機種を使ってよく聴くのはクラシックならドヴォルザークの「新世界より」
    ポップスならオフコース。そして最も好んで聴くのが「Re-feel」である。
    特性である豊かな低域・細く硬い高域というものは、このアルバムだけにかかわらず、
    ピアノを聴くのにかなり適しているように思われる。
    このことを思いつき、真剣に「Re-feel」を通して聴いた時は思わず涙が出てしまった。





その他




DT880PRO同様、音量は取りにくい。iPodやポータブルCDPでは最大近くにしてやっとの場合も。
またアンプによって伸ばしたい方向性をある程度決められるようで、
様々なアンプで試してみるのも面白そうだ。



装着感は良好。
最初は側圧がややあるように感じるものの、イヤパッドが心地よく、かつ深めなのできつくはない。
また、金属を使っているせいか、だんだんとフィットするようになる。
頭頂部のクッションはもう少し厚い方がいいような気もする。
人によっては長時間はつらいだろう。ただし、バンド部全体にクッションがあることはよい。
アームの長さはやや不安。大抵の人は大丈夫だろうが、ぎりぎりになる人も多そう。
蒸れにくく、夏場に使うこともできそう。


デザインはやや悪い~微妙。
長さ的にアームを伸ばさなければいけないことで、シルエットが悪化している。
全体的に黒なのにイヤパッドのみが銀色なことで、バランスがよくない。
アーム部が金属なのにハウジングがプラスチックなことがいただけない。
作りも微妙。全体的にきちんとは作られているが、アームの接触が不安。
また、十字ドライバーで簡単に分解できそうだと、外見からでも分かることがよくない。


エージングに関しては、そこまでの変化は感じなかった。
低域の締まりが増し、高域の硬さが増したような感じがするという
エージングに対する一般的な現象が起きたように思うが、劇的ではなくやんわりと。


付属品はミニ→標準への変換プラグのみでケースはない。







同じ空の下で

高域は想像よりもいたくない。やや昔の曲のせいか、打ち込みもそれほどきつくないのだろうか。
だがボーカルは埋もれ、サ行はかすれまくる。低域の質感もあっていない。
高域もシャリシャリした音が目立つ。
結局、予想を裏切らず相性はよくない。





総評

気に入る気に入らないが全てのヘッドホンだと感じられる。
汎用性は低く、もっとメジャーなヘッドホンを持っていれば得意分野的に買わない人も多いだろう。
自分はそれを間違っているとは言わないが、DT990PROにはそれを否定する力がある。
そう信じさせることのできるヘッドホンである。
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コメント 13

Riever

どちらかというとドンシャリって事ですかね。
それと好みが分かれるという点で、HD25と近いのかなと思います。

個人的にはあっま~いボーカルになるようなやつが欲しいんですが、オフコース用に買うのも良いかなと(←単純)
by Riever (2008-02-15 14:59) 

Chris

ちなみに私はDT990proも好きですが、
DT770proがやっぱり一番好きだったりします。
by Chris (2008-02-16 01:43) 

たつを

ベイヤー良いですねぇ。
買おう買おうと思いながらなかなか手が出せずにいる感じです。
ちょうど買える時に在庫無しだったりするんですよね(^^;

>ジャズ
やっぱり合いますよね。
暗い雰囲気といい、沈む低音といい。
んーやっぱり欲しいです(^^;;;
by たつを (2008-02-16 02:04) 

Re-feelを検索してみると鍵の曲ということで・・・購入リストに追加b
ベイヤーよさそうですね。
いちどベイヤーでお気に入りのCDを聞いてみたいですな。
by (2008-02-16 09:17) 

セラミック

Rieverさん、Niceとコメントありがとうございます。

そういった言葉を使わないでいこうかと思っていたのですが、まぁ…間違いなくドンシャリです。フラットとかかまぼこのわけがない、というくらい激しく。
HD25は試聴のみですが、低域も高域も表現がかなり違うと思います。
個人的な好みですが、自分はHD25と相性が良くなかったです。

>あっま~いボーカル
お米屋さんだとそういう表現ではないです。リアルさ重視ですね。
加えて、最近の小田和正名義のCDでは相性自体も微妙です。
あっま~いボーカル、手持ちならSTAX、こちらは小田さんのCDもいい感じです。持ってないものをあげるのもなんですが、どちらかといえばSENNHEISERやAKGの方がそういう表現向きかと。
by セラミック (2008-02-17 00:24) 

セラミック

spinさん、Niceありがとうございます。
by セラミック (2008-02-17 00:25) 

セラミック

Chrisさん、Niceとコメントありがとうございます。

そんなこと言われるとDT770PROまで揃えたくなっちゃうじゃないですか^_^;
いい加減ほかのメーカーのも買わなきゃとか思ってるのに。
とはいえど660も………あぁ、お米屋さんはどうしてこんなに魅力的なんだろう
by セラミック (2008-02-17 00:28) 

セラミック

たつをさん、Niceとコメントありがとうございます。

何か嫌われるようなことしたんじゃないですか?ヽ(^。^)ノ
冗談はさておき、お手持ちのものとはなかなか違うキャラだと思うので是非どうぞ

ジャズに関しては基本的に門外漢なのですが、
それでも「合う」ってのがひしひしと伝わってきました。
by セラミック (2008-02-17 00:33) 

セラミック

enさん、Niceとコメントありがとうございます。

う~ん、なにかいけないことを書いてしまった気が……>Re-feel
ジャズに関しては(ry ですが、面白いヘッドホンってことは間違いないです。
by セラミック (2008-02-17 00:39) 

Riever

>自分はHD25と相性が良くなかったです。
私も一度お借りしたとき(といっても多少改造されてた奴ですが)、(初代)HD25-1を始めに聴いたときは低音もこもこで要らないと思ったんですよ。
ただ、アレは激しい曲であればあるほど真価を発揮します。去年の今頃だったか、記事にしました。

小田さんはオフコース時代の方が真面目に作っていたと言いますか、今は大衆向けに作っている曲が多くなっていて、少し私が聴きたい曲と違うので、私はオフコース派なのです。
STAXはあのインピーダンスの高さから硬そうな音だと勝手なイメージが付いているのですが、柔らかいんですか。
いずれ買わねばならないヘッドホンですから買うとは思いますが、いつになる事やら。

SENNHEISERは聴いたことがないですが、甘いのはHD590やHD650辺りでしょうかね。HD25-1は甘さとはまた違うと言いますか、あれはきっと異端児なのかなと思っています。
AKGは甘いイメージが確かにあります。しかしもちろん、聴いたことはありません(爆)
赤毛の人はきつそうなイメージがありますけどねd( ̄  ̄;)☆\(--<クダランダジャレダ
by Riever (2008-02-17 02:36) 

たぬき

ご購入オメオメなのです!

990も880もご指摘の通り、気に入るか否かが全てのHPですよね。
あたしもどっちも好きですが、あたしは990でベイヤーにはまったので・・・。
その分990の方が好きかもしれません。
けどけど、880もやっぱり好き好きッコであります!
by たぬき (2008-02-17 23:33) 

セラミック

>Rieverさん
低音をうまく活かせればよくなるのですか……とはいえそんな曲聴かんしなぁ

オフコース時代の方が雰囲気が良かったと感じます。今の曲はすっきりしていて、それも悪くはないんですが、聴き入るにはやや不満が残るところです。
STAXは痛さやきつさがないですよ。適当なことを言えば、高いインピーダンスで全面駆動をしてるだけってことでしょうし。

HD25-1は屋外モニター用とのことで甘かったら問題でしょうね^_^;
590は聞いたことがないので分かりませんが、595や650は甘いように感じました。
AKGは自分も長く聴いたわけじゃないので多分にイメージで……(ーー;)
by セラミック (2008-02-18 04:02) 

セラミック

たぬきさん、Niceとコメントありがとうございます。

DJ1PROのようなヘッドホンとは逆ですし、一般受けしにくいかもしれませんね。
使い分けできるのでそこには違いがあり、したがって差ができてしまうもの。レビューするものとして、個人的な好みは述べたものの………
どちらもいい娘(*^。^*)
by セラミック (2008-02-18 04:07) 

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